この事例の依頼主
60代 男性
ご相談者のAさんは、恩師(故人)の妻であるB子さんから頼まれて、退職金の中から200万円を弁済期を3ヵ月後と定めて貸し渡しました(借用書あり)。しかしながら、B子さんは、3ヵ月が過ぎてもお金を返さず、返済を催促しても「もう少し待って」と言うだけで、一向に返済がされませんでした。その後、B子さんは、Aさんに行先を言わないまま転居し、そのまま連絡が取れなくなってしまいました。困ったAさんは、B子さんに対する貸金の回収について相談に来られました。
まず、B子さんの転居前の住所の住民票除票などを職務上請求し、転居先の住所を調査しました。そして、B子さんに対して、200万円の貸金と支払期限から完済までの遅延損害金を請求する催告書を内容証明郵便で送りました。その後、B子さんから連絡をもらいましたが、B子さんによれば、B子さんには年金収入しかなく、200万円と遅延損害金を一括で支払うことは困難とのことでした。Aさんと相談したところ、相手は恩師の妻で無理は言えないので、長期の分割返済でも構わないが、200万円の元金だけはきっちりと返済してもらいたいとのご意向でした。そこで、B子さんと交渉し、B子さんには借入金200万円と完済までの遅延損害金の支払義務を承認したうえで、そのうち200万円を毎月2万円ずつ100回に分割して支払ってもらい、期限に遅れずに合計200万円を支払えば残債務の支払いを免除するとの恩典を与える内容で長期分割弁済の合意書を交わしました(弁済金は遅延損害金から先に充当するものとしましたので、完済時までの遅延損害金を考慮すると、計算上の免除額は100万円を超えることになります。)。その後、8年以上という長い年月がかかりましたが、貸金200万円を全額回収することができました。
本件のように支払能力のない相手に対しては、仮に訴訟を提起して判決を取得したとしても、差し押さえるべき財産がなく回収は困難です(ご存知のように、年金は差押えができません。)。そのような中で、本件は、相手の支払い可能な弁済条件まで大幅に譲歩したことで、たいへん時間はかかりましたが、ご相談者のご意向どおりの金額の回収ができた事案です。もちろん、1回あたりの弁済額を多くさせて弁済期間をもっと短くとか、残債免除の恩典を与えずに遅延損害金も含めてきっちりと回収するという考えの人もいらっしゃるでしょう。ただ、そうなると、途中で弁済が止まってしまったり、相手に破産されてしまったりというリスクが高まることになりますので、どこに妥協点を見つけるかが重要だと思います。